忍者ブログ
世界史に興味はあるけれど、何から手をつけたらいいかわからない人のためのレビュー
[1] [2]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

逆説のユーラシア史―モンゴルからのまなざし

杉山正明『逆説のユーラシア史―モンゴルからのまなざし』の中で、モンゴル時代の歴史を東西の原典史料から研究している立場からすると、「マルコ・ポーロ」なる人物に関してあまりにも疑問が多いことが指摘されています。

ヴェネツィア生まれのマルコ・ポーロは、17歳の時に父・叔父とともにアジアへと旅し、15,000kmの旅の末、1295年ヴェネツィアに戻り、その後牢獄の中で『世界の記述(東方見聞録)』を口述したとされます。

杉山教授がマルコ・ポーロに関する疑問点としてあげるのは、

  • 20数か国にわたるモンゴル時代の根本原典には、マルコ・ポーロに関する記述がまったくない。
  • マルコ・ポーロがモンゴル帝国大ハーンフビライ(クビライ)のもとで就任していたとされる地方長官の職は、歴代の名がすべてわかるにもかかわらず、それらしき人はいない。
  • マルコたちが帰還の際に乗った船に関する記述には、正使以下の面々がきちんと記され、同時代の漢文史料とも連動するが、マルコ一家の記述だけが見えない。
  • 1298年に完成したはずの旅行記の中に、1298年の時点では絶対に知り得ない情報が平然と述べられている。
等です。純粋に歴史史料だけから見れば、マルコ・ポーロの人物像も旅行記も、確かなことはほとんどわかっていないということです。教授はだんだんと「マルコ・ポーロという名の誰か」という言い方を頻繁にするようになります。

 

興味深いのは、その旅行記がフビライ・ハーンとその周辺に関しては、非常に正確で詳しいということです(ジパングに関する記述の正確さを考えてみれば、あまりにも違います)。これは、側近というべき人たちしか知り得ない情報があり、何年もしてから資料もなしに口述できるような代物ではないわけです。とすれば、マルコ・ポーロを名のっているあなたは誰?ということになります。

いったい、誰なんでしょう


杉山正明『逆説のユーラシア史―モンゴルからのまなざし』
└ マルコ・ポーロ以外にも、情報戦・組織戦を駆使して、たたかわずして勝つ軍隊だったモンゴル軍に関する記述も必見です。

PR

ああ知らなんだこんな世界史

どこを知らなんだと言えば、西アジア~北アフリカを中心とするイスラーム世界です。
世界史は、西ヨーロッパ(&アメリカ合衆国)が中心となっている傾向があるので、この本で取り上げられている話題自体、日本においては新鮮味あふれるものとなります。

それを実際に行ってみた紀行文をもとにしながら歴史上のエピソードをふんだんに盛り込んだ、読みやすい内容となっています。

それがたとえ割とみんなが知っていそうなことでも、それを軽く・たのしく・親しみやすく語りかけてくれています。
歴史に知識比べの博覧会みたいなことを求める人にとっては、この本に書いてあるとこは少々物足りないと思うのかもしれませんが、こういう、身構えずにさっと読める歴史本って、私はとっても必要だと思うし、他にもどんどん出版されてほしいですね。


清水義範『ああ知らなんだこんな世界史』
└ Amazonで1,470円(配送料無料)

暦と占いの科学 (新潮選書)

Septemberは7番目の月という意味であり、
Octoberは8番目の月の意味(オクトパスは足が8本でしたね)、
Novemberは9番目の月という意味で、
Decemberはご推測の通り10番目の月という意味になります。

なぜ、そこに2か月のずれがあるのか、それを非常に丁寧に説明してくれています。

また、英語の1~6月はギリシア・ローマ神話の神の名であり、曜日にはゲルマン神話の神の名が使われています。
これらについても丁寧に解説されていきます。

全編にわたり、暦にまつわるさまざまな要素がそれぞれ取り上げられて、これもまた丁寧に解説されることになります。

知的探求を十分に満たす本ではありますが、本にわかりやすさやアドベンチャーなどを求める人にとっては、とっつきにくい本と言えるかもしれません。


暦と占いの科学 (新潮選書)
└ 「暦」の歴史について詳しく、とても参考になります。「占い」の比重は低いので、そちらを期待しているとがっかりするかも。

フランス革命の肖像 (集英社新書ヴィジュアル版)

非常に色彩のきれいな肖像画が集められていて、
本文の補足としての肖像画ではなく、
肖像画があって、各肖像画に対する補足・コメントのようにして肖像画がある感じがしてきます。

そして、あくまでも顔にこだわることで一貫しているその執筆姿勢は、
ある種のすがすがしさを感じずにはおれません。
ということで、この本は異彩を放っています。

個人的な感想ですと、カトリノーと若き日のナポレオンがなんといってもかっこいいですね。


フランス革命の肖像 (集英社新書ヴィジュアル版)

手にとるように世界史がわかる本

面白いのが左ページの下にある「世界史トリビア」で、科挙の競争率が3000倍だったとか、マラソン競技が42.195kmになったわけなどが、どのページにもあります。数えてませんが、全ページ数を参考にすると200近くありそう。

数ある世界史入門書の中でもおすすめの1冊です。1テーマが4ページにまとめられ、地図・図解・イラスト・エピソードをふんだんに盛り込んでわかりやすいものになっています。

400ページを越える本で、ブランドや商品名の由来とか映画の実際とかそういうテストにでないことも満載の、歴史好き(になりたい人)にはたまらない楽しい本になってます。


小松田直『手にとるように世界史がわかる本』



Copyright (C) 2005-2006 SAMURAI-FACTORY ALL RIGHTS RESERVED.
忍者ブログ [PR]
プロフィール
HN:
日向(himuka)
性別:
男性
ブログ内検索
カウンター